夏の大移動

 たとえば、温故知新を地で行くような旅だった今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
 いつものように、夏休みを利用しての大移動。少し前に書いたように、旅行に行くきっかけを作ってくれた『お嬢様特急』発売15周年を記念して、かつてのような旅路となった。もっとも、最初のうちは例によって「高知競馬に行くべ。ついでに四国をぐるっと回るか」と思っていたが、ラジオで「今年は札幌競馬場が改装となり、函館競馬でロングラン」と聞いたことで路線を変更。いつもなら「6・7月が函館、8・9月が札幌」というのがJRAの北海道シリーズだが、夏休みからは外れているので、なかなか行く機会が無く、ちょうどいいタイミング(高知は年がら年中やってるしね)。
 遠出するには、昨年同様、MLえちごで新潟に抜けて、そこから秋田~青森と北上していけば、なんとかその日には函館に着くので、そこで一泊。函館競馬をやってから脚を伸ばして、ばんえい十勝競馬か門別競馬を絡めて、札幌から夜行急行で本州に戻ってきて、帰りしなに盛岡競馬に行く…というアウトラインを決めて、1ヶ月前に指定席を手配して、ちゃんと予約できたので、ホテルの準備、あとは休みの前後の仕事を確定させれば、当日を待つばかり。


 8日。MLえちごが23時10分発なので、昨年みたいにぶらぶらして18きっぷを1回分使うのではなく、日付変更後の到着駅の高崎までの乗車券を買えばいいんじゃない、ということにしたので、普通に仕事して、21時過ぎに事務所を出て、食事して新宿駅に向かい、窓口で高崎までの乗車券を購入する。あとは、ホームで時間をつぶして入線してきたら即乗車、荷物をあげて休むことに。念のため車内改札が来るまでは起きてようと思ったけれど、結局改札は来ずに、一寝入りしたら新潟駅に到着。
 9日。新潟駅でいったん改札を出て(このとき、くだんの乗車券と指定席券、18きっぷを見せて「これで乗ってきたので、今日の分を押してください」と伝えればOK)、トイレで顔を洗い、シャツを着替えて、朝食を取り、ここから新発田~酒井と乗り継いで、秋田に到着。ここで、今日更新する作業があったので、昼飯がてら時間を取ったわけだが、なんだか改札や窓口がごちゃついている。秋田地方の大雨で、秋田新幹線が運休したため、その説明とかきっぷの払戻だの、振替だのの列らしい。まぁ、在来線は動いているようなので(まぁこれは誤解だったのだが)、とりあえず昼飯を食べる。
 1時間ほどぶらぶらして、地酒コーナーの試飲でよかったので1本買って、さぁ移動再開と思ったら、乗る予定の列車は「大館行き」だったのだが「東能代行き」と行き先が違っていて、立て看板を見たら「奥羽本線、大館方面は大雨のため、運休」と。早速トラブルですか、と。再びPCを立ち上げて、青森からの特急の最終便を押さえて、とにかくそれに間に合えばと思いつつ、東能代行きに乗る。
 東能代では相変わらず運休していたので、大館までの代行バスに乗る。そこから先でがんばれば、なんとか先ほど買った特急に乗れるのだが、と思いつつ、バスが動いてからだんだん雨脚も強くなり、また山間を縫うように進んでいき、また途中で進めないのか折り返したりしたので、「これでトラブったら、『サバイバルゲーム』(原題MAN vs WILD)だなぁ」とのんきに考えていたが、報道でもあったように亡くなられた方や行方不明になった方もいらっしゃるので、生き死には紙一重だったと強く思う(実際にはその日の夜のニュースや翌朝の新聞などで知ったのだが)。
 大館に着くまで約2時間、ここでもまったく列車が動いてないので、先ほど買った特急券を払い戻ししてもらって、昨夜から持ってきたお茶が心許ないので、NEWDAYSで食料を調達、ホテルにキャンセルの連絡をして、再び代行バスを待つ。乗り込んでからは雨もやみ、1時間ほどで弘前に到着。ここでは列車が動いていたので、ここからは青森まで小1時間。今夜の宿を気にしつつ、とりあえず青森に到着。
 青森で降りるのはもう11年ぶりなので、駅前がきれいになっていてびっくり。楽天アプリからざっと目星をつけて、安かったところに投宿。荷物を下ろしてシャワーを浴びて、PCを取り出してルートの再検討。どうにも帯広まで行くのは厳しいので、いっそ札幌でぶらぶらするかと決めて、帯広のホテルをキャンセルし、時刻表と首っ引きで北海道上陸から札幌へのルートを確認する。なんとかいけそうなので、「じゃ明日は函館に行くだけだね」と心の余裕も出てきたので、そろそろ飲みに行くことにする。
 さて何にするかとうろうろするも、時間も22時近かったので、駅前の大漁日本海庄やに入店。コピー紙メニューから、お造りとか郷土料理とかいただいて、締めにおにぎりをチョイスして、人心地ついたところで二件目に行くかと思ったら、さらに時間が過ぎているので、「ラストオーダーです」といわれたところか、居酒屋チェーン系しかない。もうあきらめて、そういや秋田で日本酒買ったっけと思い出して、コンビニでおつまみと缶ビールを買って、部屋に戻りもう一度シャワーを浴びてから、ささやかな宴会を繰り広げる。するする飲んでいく内にあら不思議、あっという間に4合瓶が空いてしまった。少し足りないので、フロント前の自販機で缶ビールを買って鯨飲。
 10日。快晴のもと、軽い二日酔いの中、特急券売機で指定・グリーンの空席をみると、夕方まで空いている列車がない。どれで行っても立つのなら、早くいったほうがいいでしょ、ということで、すぐの特急のきっぷを買って、コンビニに急いで、おにぎりとお茶を購入。事務所から持ってきた物も含めて、これで5リットル目。ホームで待つが、やはり座れず(というか、東北新幹線から新青森で乗ってきたお客さんですでにいっぱい)。コンコースで10人くらいで押し合いへし合いして函館まで2時間。
 お手洗いがすぐそこなので何人かが利用されたのだが、女性の場合、通路に座っている子どもとかにも「ごめんなさいね」とかいいながら進んでくるのだが、男性の場合、この状況を見て「うぁ、行けないな」とか独りごちてそのまま席に戻っていく人ばかりで、その差がおもしろいなぁと思いながらみていた。
20130810_p8102911.jpg 函館に到着して、ロッカーに荷物を入れてチェックインまでぶらぶらするかと思ったら、どこも空いてない。しょうがなく、8キロくらいを背負いながら、朝市から抜けて有名な坂のあたりまで歩いて行くことに(なぜなら時間はあるからだ)。途中、さっき買ったお茶がなくなりそうなので、いっそのこと飲み干してコンビニで補充。本日2本目の2リットル。坂の下から上を撮って、さて上からの眺めも押さえるかと登り始めたら思いの外きつくて、膝が痛んでくる。ひーこらいいながら、登り切って上からも撮ったところで、赤レンガ倉庫のあたりまで戻っていく。先ほど目をつけていた、はこだてビールのレストランに行ったところ、ちょうどランチ営業の後で、ディナー営業は2時間後かららしく、こりゃ待てないな、ということで、そのままホテルへ向かう。
 ホテルでは、とにかくシャワーを浴びて、着た物を全部洗濯機に入れて、一休み。PCを立ち上げて、明日からのホテルを予約してから、乾燥機の様子なんかを15分間隔で見に行って、まだ乾いてないのでその都度100円入れたりしたので、結構時間がかかってしまった。
 どちらかというと観光地ではないほうのホテルで、駅からでも10分弱歩き、ここから先ほどのレストランまで片道20分以上歩くのもなぁと思ったので、大門横丁なる飲み屋街へ向かう。2周くらいして良さそうな炉端焼きの店(大門横丁の赤ちょうちん)に入店。サッポロクラシックではなかったので、そこそこに出ようかと思ったら、あとから入ってきた夫婦が「○○さんに紹介されて…」とかで、そんなにいい店ならもう少しいるかと思っていたら、イカの塩辛とか鮭とばなどの小鉢をサービスしてくれた。それをあてにコップ酒を2杯。さすがに回ってきたのでお開きにして、2件目にいく余裕もなく、コンビニで買い物して部屋に戻って、二次会。朝の二日酔いもあるので軽めにして就寝。ここでも2リットルのお茶を1本購入。
 11日。朝のテレビで、「天気は晴れ、予想最高気温は29度」といっていたので、気を抜いて普通のメガネに、お茶も無しで函館駅前のコインロッカーに荷物を入れて、市営の路面電車で競馬場へ。幾人かは同じように競馬目当てだったのだが、スーツケースを片手に小銭を両替して料金を払ったり、一日乗車券を購入したりとかで、降りるのに時間がかかる。先にできるものは先にしておこうよ、という考えと、Suicaになれちゃうとこーゆー時に大変だよねぇという思いがわいてくる。
20130811_p8113140.jpg はて、何年か前にスタンドをリニューアルしてこぎれいになった函館競馬場は、現存する中では日本最古の競馬場だそうで、それなりに趣のある場である。まぁ、パドックとコース脇とケータリングカーでの食事しかしなかったので、あまり大きいことはいえないが。
 そこで、天候を見誤ってお茶を持ってきておらず、それもあってか途中のぼせたような症状が出たあたりで、「こりゃまずい、そうそうに引き上げるか」と。今夜のホテルは押さえてあるので、そこにいく列車の接続を鑑みると、もう出なきゃまずいくらいの時間だったので、そうそうに引き上げる。
 路面電車で函館駅に戻って、コンビニでおにぎりとお茶(例によって2リットル)を買って出発。函館~長万部で3時間、長万部~東室蘭で1時間半強、東室蘭~苫小牧で1時間のロングドライブ。21時前にチェックインしたものの、駅前にお店のあかりがない。一番近いコンビニでも数分かかるので、もうそこで食事やカップラーメンやつまみや酒や明日のお茶も含めて、がしっと買い物して、部屋で飲み食いする。
20130812_imag0141.jpg 12日。苫小牧からは札幌へ向かって、とりあえず大物をロッカーに放り込んで、さらに小樽、余市と乗り継いで本日のメイン・ニッカウヰスキー余市蒸留所へ。見学コースに間に合ったので、それでぶらっとみてから試飲して、お土産ゾーンをさっとみてから、先ほど通り過ぎた有料試飲エリアへ。とりあえず一番高い物をいただいてから、原酒の飲み比べ、さらにシングルカスクをいただいて、よし買うのはアレとソレにしようと決めてから、再びお土産ゾーンへ。ここでもワインの試飲をしてから、がしっと買い物をして、余市へ戻る。
 先ほどとは逆に、小樽、札幌と乗り継いで、荷物をピックアップして、本日のお宿へ。大通りのそばなので、ビヤガーデンがすぐだなぁと思いつつ、飲む前に入れておくかとコンビニでカップ焼きそばとおにぎりをチョイスして、部屋で食べて人心地ついたところで、少し横になったのが敗因。すかっと寝てしまって、気づいたら夜。そして雨音。これから着替えて、フロントで傘を借りて、結局やってないビヤガーデンを眺めつつ、すすきのの方へ行くのも面倒だなぁと思って、結局その夜は出ずじまい。koboでひたすら読書して就寝。
20130813_imag0161.jpg 13日。昨日の反省もあるので、チェックアウトして札幌駅のロッカーに荷物を入れてから、サッポロビール園へ。バスが30分間隔なので少し待ったが、それに乗って、目もくれずジンギスカン食べ飲み放題へ。クラシックで乾杯してから肉を焼き、食べては飲み、飲んでは頼みを繰り返して、ラストオーダーの頃にはおなかもいっぱい。せっかくなので、ビール博物館を見学してから、有料試飲(というか全部有料だった)してから、土産物を冷やかしつつ、裏手にあるショッピングモールで涼んでから、再びバスに乗って札幌駅へ。
 先ほどの博物館で「銀座七丁目店と並んで古いのが、狸小路にありまして…」ということなので、そちらを目指しつつ、前にも行ったラーメン屋を探すと閉店したようで。おセンチな気分で銀座ライオン狸小路店を目指す。お店の方は、確かに趣のある雰囲気なのだが、いかんせん、飲み食いしたのがじわじわ効いてきたのか、あまり食べられずに店を後にした。
 そのまま地番の東西の起点となる創成川沿いをぶらぶらして、ベンチで休んで、駅近場で2時間ほど待つ。本日2本目の2リットルのお茶を飲みつつ、時間をつぶし、22時発の夜行急行はまなすを待つ。1ヶ月前の朝10時から発売するので、そこにあわせて予約したからいいものの、当たり前のように指定席・寝台は満席とのアナウンスが流れる中、7時間半の乗車に身震い。その予想は的中して、道中はどうにも尾てい骨が痛いのと、車内温度がそれほど低くないので汗が止まらず、あまり眠れなかった。
 14日。青森駅に到着して、コンビニでおにぎりを購入、八戸ではいったん改札を出てお茶を買ってから、窓口できっぷを購入(青森から八戸を通って目時までは青い森鉄道、目時から盛岡までがIRGいわて銀河鉄道で、どちらもJR線ではないのだが、特例で青森~八戸は18きっぷで乗れるようになっている)して、再び乗車。盛岡でロッカーに荷物を入れて盛岡競馬へ。
20130814_p8143426.jpg 盛岡競馬場は、地方では唯一の芝コースがあり、その日も1鞍組まれていたが、後述するように無料バスの時間の関係で、そこまでみることはなかった。ついたときには、2レースが発走し終わった後で、カメラを構えて3レースのパドックを激写、ついでレースも激写、しかしあまりの暑さに機材をしまい込んで、ロッカーに入れ、とりあえず食事をする。よくよく考えたら朝からおにぎり2個しか口にしていないので、ホルモンカレーと焼きそばをチョイス。がしっと食っての4レースではなんと万馬券が的中。うはうはいいながら、それから三連単で攻めまくったが、そこまで。8R・9Rと三連複で的中してから、駅までの無料バスの列に30分ほど並んで、さらに発車まで20分近く待って、そこから30分くらいで盛岡駅に到着。新潟競馬場の往復1,000円もきついが、乗車30分の無料バスもきつい。
 そこからは、盛岡~一ノ関が1時間半、一ノ関~仙台が1時間半、仙台~福島も1時間半とセミロングドライブで今夜の宿に到着。まったく住宅街にあるので、最初はそことわからなかったが、やすいのでしょうがない。ついでに、洗濯機を借りようとしたら「ただいま、予約のお客様がご利用でして…。朝のご利用は10時以降で…」とのことで、結局使えず。シャワーで軽く流して干すだけにしたが、2日間洗えないのは痛かった。
 15日。ついに最終日。当初の予定では、ボートレース桐生にでもよろうかと思っていたが、ナイターで遅くなるのはなんだか疲れ気味なのでパスして、じゃどこにいくかとなると、郡山から会津若松へ出て末廣酒造へ。折からの大河ドラマの影響もあるが、快速列車や臨時快速もあるので、座れるかどうかはまだしも早くいけそうなので、そちらにしてみた。
 福島から郡山へ行き、そこでロッカーに荷物を入れ、身軽になってから停車していた快速列車へ。なんとか座れたので、よしとする。
20130815_p8053439.jpg 会津若松から、巡回バスが一番速いのだが、時間もあるので歩いて行くことに。ところが当初見当違いの方向だったので、修正しつつ向かったので、結構かかってしまった。思いの外こぢんまりとしていて、見学コースの説明でもあったのだが、今は嘉永蔵ではショップで出している限定品やお客の要望に添ったマイ日本酒造りなど、手作りの酒のみを作っているそうで。もちろん今は製造期間ではないのでがらんとしていたが、それでも歴史を伝えるべくいろいろとおいてあったのがおもしろかった。
 一通り見学してからは、ここ限定の酒を中心とした試飲。実は5種類あって、そのうちの3本は買ったことがあったのだが、いつもは飲まない吟醸とかが飲めたのでよかった。そしてここでもお土産を購入して、後にする。
 歩いて駅に戻る道すがら、昼飯が食べられればと思ったが、思いの外お休みが多くて、結局駅そばのスーパーでおにぎりとお茶、お総菜などを買って、駅前公園で食べることに。なんだか、こんなところにも15年前を思い出す。
 郡山に戻ってからは、荷物をピックアップして黒磯、宇都宮、上野、秋葉原と乗り継いで本八幡で終着。なんとか20時台には家につけたのでよしとする。
 昨年が日程が短かった反動で、今回は長めにして途中で連泊を挟んで観光もがっちりやるつもりだったが、初日の大雨でいきなりのプラン変更があり、そこら辺も含めて15年前のドタバタしていた感じが思い出せてよかった。
 あの当時は、スマホはないし、出先のネット環境が皆無、ケータイもショートメッセージがギリという時代だったけれども、逆に機材が少なかったので、今より身軽だった気がする。今は、リュックにパンパンの荷物で、動き回る前にロッカーに入れないと行けなくて、そこら辺は痛し痒しもある。
 ほぼ1日に2本ペースで2リットルのお茶を買っていた(お茶や炭酸で都合26分も!)のに、トイレにはなかなか行かなかったり、朝用意したタオルが昼前には汗でぐっしょりなんてこともあって。これでも涼しい方に行っていたのに、猛暑のせいなのだろうか。
 今回は、koboに何冊か文庫本を入れての旅行だったが、移動中はほとんどそれを読んでいて、またホテルでも就寝前とか、洗濯機待ちとかで読んでいたので、ついには全部読み切ってしまった。それでも途中一回充電しただけなので、旅行アイテムとしては抜群。このほか、モバイルバッテリーを大小あわせて3個持って行ったが、スマホの充電なんかはそれですんだので、結局ホテルで充電したのは1度きり。それとホテルにネットが無くても、スマホのテザリングで用は済んだので、LAN周りの機材も使わなかった。ノートPCもバッテリーが持つモデルなので、もう一度同じような機材にしても、充電器とかが減らせるのかも、という気はした。新たな発見もあったので、また来年はよりおもしろい旅になりそうで、楽しみでもある。