たとえば、「趣味:観劇」と書ける人は「趣味:読書」よりも高尚な印象のある凡人さを思い知らされる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
例によって例のごとく、愛ちゃん(一応、清水愛の当サイト内愛称)がでるというので、劇団劇作家の朗読劇を見に行った。以前も、朗読劇を見に行ったが、そちらはどちらかというと、ほら『ラブレター』のような役者が2人+αが座ったままテキストを読んでいく、というテイストだったので、今回のは「にしては、人数多いな」と思っていたが、ほとんど芝居のようだった(後述するが、ポストトークでも「あれは、リーディングというより芝居だよね」という声も)。
ストーリーは、ヒロイン20歳の誕生日を迎えたあたりから数週間(だよね? テキスト読んでないので不確定)の話がメインで、あとイントロとオチという構成。それぞれ台本は持ってはいて衣装も着ているが、セットは無く、BGMやSEもほとんどなかったので、逆にテキストに集中できるのでおもしろかった。
そもそも劇団の創立趣旨からすると、「戯作者がいいものを書いても、上演・上映する場がない。なら自分たちでプレゼンして、演じてもらおう」というスタンスなので、それはそれは「愛ちゃんでてるからいこー」という人の少ない、非常にいい雰囲気の席でした。
たぶん前にも書いたが、もう、15年くらい前になるだろうか。セーラームーンの三石琴乃さんの追っかけ的なことをやっていたときに、高木渉さんらとたちあげた「あかぺら倶楽部」という劇団があって、三石さん出て無くても、とりあえず見に行こうということになって、そこから4~5作見たことがあったり、ほかの劇団への客演も見に行ったりしていた。その時期は、毎週、月曜にオリコン、火曜にぴあ、水曜にSPA!、木曜にヤンジャン、金曜にヤンサンを立ち読みして情報を得ていたので、「劇団そとばこまち」のを見に行ったりもした。インターネットも無い頃だし、チケットも店頭でさくさく買えた時代だから。また小劇場の公演だから、1年とまでは行かないが10ヶ月程度の1公演という感じなので、3年ほどはそんな感じで過ごしていた時期があった。
今回も、JR以外の経路で各駅じゃないと行けないところだったので、結構懐かしい印象があり、台風一過でどうなることかと思いつつ、仕事早くに切り上げて向かったのでした。
さて。2時間の公演もあっというまで、終わってからのびをしていると、ポストパフォーマンストークというのが始まった。というか、こちらも楽しみにしていた。鴻上尚史氏をゲストに、今回の戯作を書いた錦織伊代さんと劇団戯作家代表・篠原久美子さんとのトークだったのだ。鴻上氏の言い得て妙の指摘にうなずく観客。やっぱ見てる人は違うね、と。どうしても、10年くらい前のSPA!の連載と『タモリ倶楽部』のエロゲストの印象が強いので。
ここで鴻上氏が「海外…ニューヨークやロンドンあたりのリーディングって、殺風景で、それに比べたら、今回のはちゃんとした上演ですよ」といい、それを受けて篠原さんも「ニューヨークとかは、小物を持っちゃうとユニオンがうるさいのでギャラが発生するのだけれど」と、普段聞けない話もあって、おもしろかった(逆に、タダに近いギャランティで戯作家を育てようという業界の雰囲気が日本には無いので劇団を作ったとも、コメントしてたし)。
帰りしな、受付横の売店(今回のもあるのかは見なかったが、戯作を売っていた)が込んでいて、おまけのトークでの帰らなさといい、ここの繁盛といい、ほんとに好きで見に来ている人たちなんだなぁ、というのが強い印象だった。ついでに、帰りの西武新宿線で、隣のブロックに鴻上氏とマネジャーさんが座っていて、軽く打ち合わせ的な話をしていたが、やっぱり声が通るのね。ここでも「さすが」と思った。