FZ1インプレッション

 朝、いつものように吉野屋で食べていると、おっさんが入ってきて「ごはん。あと半熟卵」とだけ注文して食べていった。この前も、ごはんと漬け物、けんちん汁だけを頼んでいる人やごはん2杯を納豆(しかも最初から2個で後から2個追加)だけでもさもさ食べている人などいろいろいる。もちろん、仕事明けの4人でビールをマックスの12本(1人で酒類は3本までという制限がある)頼んでへべれけになっている人たちも、よく見かける。ある意味かっこいいんだけれども。涼子ちゃん風に言うと「今日、吉野屋でオリジナルに注文している人がいたの。ああいう風にすてきな年の取り方をしたいなぁって思っちゃった」とでも。
 知人が、パナソニックのFZ1のモニター販売に当選し、発売日に届いたそうだ。と言っても自分も申し込んだけれどはずれてしまって。新宿に行く用事があったので、「持ってきて、手頃なバック(ハクバのルフト・アルトナ ショルダーポーチLだと思う。今web見たら、買った色が載ってなかったけど、形が似てたんで)を買うにょ。あとプロテクタもね」と連絡し、持って来てもらって触ってみた。次の日、取材だったので借りて1日中使ってみた。以下は、取説を読まずに使った段階でのインプレッション。
◆大きさ・重さ
 カタログスペック的に以前持っていたPro 90ISの半分以下の重さ(Pro 90ISは、幅126.5×高さ83.9×奥行139.1ミリ、約680グラム。FZ1は、幅114×高さ70.3×奥行83.3ミリ、約318グラム。重さはどちらも本体のみ)。重心は変なところにないし鏡胴部分を普通持つだろうから、大きさは小さいけれど、特に持ちにくさは感じなかった。
◆レンズ周り
 単純に光学12倍ズーム、デジタルでさらに3倍、全域でF2.8というのはすごい。意外とズーミングも速いのでストレスはない。手ぶれ補正もあるので、気軽に望遠写真を撮れるのは、C730と比べても優位なところ。
 で、標準装備の花形フードは、正位置に固定されないのと、正位置じゃないと撮影画面に割り込んでくるので注意が必要。また、これをつけるアダプタは、一応55ミリのねじが切ってあるが、他社(試したのはケンコーのMCプロテクター)のが微妙に入らなかった。純正ではプロテクターとNDフィルターしかないので、ちょっと不満(もっとも、純正プロテクターを着けた上に、他社のPLフィルターなどが着くかもしれないし)。このアダプタと花形フードは、黒しかないので、本体色がシルバーだとちょっと変かも。レイノックスやケンコーあたりからアダプタが出てくるのを待つのも手。
 電源が切れてもズーム位置を保持しているが、スイッチが入った瞬間、ワイド端に戻ってしまうので、バッテリーセーブの意味でこまめに電源を切るとそれ以上に電池を喰いそうなので注意。
◆データ書き込み
 撮影後のモニターを無しにすると、あのEXILIM並に連続撮影ができるのがすごい。普通の64MB SDカードだったので、これが256MBとかになるともっと速いのか? それとも追いつかないか? 気になる感じ。逆に、値頃な128MBでも十分に対応できるスピード。
◆バッテリー
 バッテリーは専用のリチウムイオン。充電は、ビデオカメラなどであるようなチャージャーにさして充電するタイプ。フラッシュ無しの状況で270カットくらいは撮影できた。実際は、あと1個あった方が安心は安心。
◆画質
 ちょっと1280×1024のノーマルで撮ったのと、撮ったのがイベントステージとは言ってもスポットの無い環境だったので、結構ざらついていた。Exif見てないので何ともいえないが、ISOを100固定で、解像度とクオリティを上げないとちょっと厳しいかも。色味は普通でやってみて実機の液晶ではきれいに見えるんだけれど、PCで見ると彩度が低いかな、という感じがした。設定にもよるのだろうか。
◆トータル
 メニュー表記がほとんどアイコン表示なので、いきなりだと意味がわからずつらいかも。あと撮影モードがキヤノンで言うところの「クリエイティブゾーン」しかないので、純粋に「シャッタースピードを稼ぎたい」「絞りを開け閉めしたい」というニーズには応えられないのがもったいない(数値でびしっと固定できないという意味で)。被写体の内容にもよるけど、シャッタースピードを125固定なら、若干暗くても後で補正すれば使えるけれど、今回は暗かったので、25あたりになってしまってぶれたのが多かった。それを回避するためのフラッシュもおまけ程度で、サンパックのリモートライトII
が同調できればいいけれど、できないとするとちょっときついかも。ホットシューとは言わないけれど、外部ストロボ端子やSやAモードがあれば、仕事でもばりばり使えるのに。
 ただ、「どんな状況でもかっちり撮れるカメラ」というのは無いので、「機能」と「軽さ」「光学ズーム」のシェアリングだと思う。全体的に動作はさっくりしているので、仮にFZ2とかが「多機能だけれど、ちょっともっさり」というのよりはいいんじゃないかと。まぁ、Pro 90ISを手放した理由も、「大きい」「重い」だけではなくて、「起動に時間がかかる」「書き込みが遅い」のほうがメインだったんで(将来的に買い戻してもいいかなぁ、という気がちょっとしているけど)。トータルで見て、Pro 90IS
は「カメラメーカーのカメラ」だし、FZ1は「ビデオカメラメーカーのカメラ」という印象が非常に強い。
 もっとも、実売6万を切っているカメラにそこまで求めるのは酷か。ただ、12倍ズームというだけで楽しいので、店頭で触ってみるといいだろう。たぶん、欲しくなるはず。実際、「EOS D30買うかも」と思っていたが、Pro 90ISとFZ1の2台買いの方が相互補完するからいいのかなぁ、という気もしてくる。